第27章 草刈り機
シカ(まじかよ……)
今後キリが本当に厳しく修行をつける時が来たら、自分は一体どうなるのか。
無自覚で、もう既に充分スパルタコーチであったキリの更に上がある事を知り、やや気持ちが重くなったところで。
やっと転がる勢いが止まり、立ち上がろうとしている男の姿が、シカマルの目に入る。
シカ「ま、とりあえず話は後だな」
ポーチからクナイを1本取り出し、男へと向かい合う。
シカ「今はこいつ捕まえて、雑草拾わせんのが先だ」
腰がどれだけもう止めてくれと悲鳴を上げても、キリのためにとそれはもう全力で抜いた草達。
それを簡単に台無しにしたこの男の罪は重いのだ。
キリ「そうね」
キリも腰にある刀を抜いて男へ向けようとしたところで、突如、キリは後ろを振り向いた。
キリ「!」
シカ「キリ、どうした⁉」
キリ「一…いや、二人。誰かがここへ向かって来てる」
『っ!! ちっ』
そのキリの言葉に反応をした男がこちらへ猛進してくる。
キン、キンッ
男から投げられた手裏剣をキリが全てなぎ払い、シカマルはキリと視線を通わせる。
明らかに致命傷ではなく、手数の多い攻撃を繰り出して、時間を稼ごうとする男に二人は眉を寄せた。
シカ「どうやら来るのは俺たちの味方じゃねーみてーだな」
キリ「でも、まだまだ遠い。先にこっちを仕留める」
キリからの怒涛の攻撃に、男は防戦一方となり、シカマルは今度はその影を捉えることが出来た。
シカ「っし、まずはその隠れてる面拝ませてもらうぜ」