第27章 草刈り機
キリの回転蹴りを避けた男が反撃しようとしたところに、クナイを投げ込む。
そのクナイを避けた事で、再びキリの攻撃ターンとなり、今度は連打となって男へと繰り出され、シカマルはその男に影を伸ばした。
『っ!?』
シカ「くそっ」
近付いてくる影の存在に気付き、即座に後ろに下がった男に、影は届く事なく自身へと戻ってくる。
『ちっ』
キリ「!?」
男の攻撃を完全に受けきったキリの体が宙へ浮き、そのまま茂みの中へ吹っ飛ばされていった。
シカ「キリっ!」
そしてくるりと方向を変えた男は、シカマルに向かってクナイを突き出した。
どうやら先ほどの攻撃は、キリへダメージを与えることを目的にしたものではないようだ。キリと引き離して、先に弱そうで目障りなシカマルから仕留めてしまおうとの事らしい。
シカマルは即座に構えに入る。
シカ(なめんなよ)
1発、2発と男からの攻撃を避けて、首を狙ってクナイを向けられた瞬間、男の顔面へと拳を振り抜いた。
『があっ!』
上体を反らして後ずさった男に、シカマルは少し得意げに構えに戻る。
シカ「へっ、ざまぁ」
キリ「絶妙」
『ぐぁっっ!!』
キリから横頬に強烈な蹴りを食らって、男はごろごろと転がっていく。
キリ「今のタイミングでカウンターもらえば、私も避けれない」
シカ「だてにいつもスパルタコーチにしごかれてねーからな」
キリ「……? シカクさん、そんなにスパルタじゃないと思うけど?」
シカ「親父じゃねーよ、お前の事だよ」
キリ「……私?」
キリはどうにもそれが腑に落ちないようで、納得のいかない顔をしている。