第27章 草刈り機
同じ作業をしているはずなのに、要領が良いのかキリの作業ペースは恐ろしく早い。
そして、開始から一切落ちることのないそのペースは、きっと全てが終わるまで続くのだろう。
自慢する事ではないが、普段のシカマルであればとっくの昔に休憩を名目にサボっているし、間違いなくもっと適当にやっていると断言出来る。
それがこんなにも集中して必死に草むしりをするなんて、おそらく人生でもうないだろう。
たが、今は。
自分が手を抜けば抜くだけ、キリの負担が増える。
そして、自分がやればやるだけ、キリの負担は軽くなるのだ。
そう思えば、いつもならば既に止まっているはずの手も、動き続けていた。
その後も一時間ほど。シカマルの腰が悲鳴をあげているのも構わず、全力で草を抜き続けていれば、ようやく終わりが見えてきた。
こんもりと大きな山になっている雑草達を見て、シカマルは感慨深さすら覚える。
シカ(俺ってこんなに働けんだな)
今までで一番真面目に、雑務に取り組んでいるのではないだろうか。
ぶちぶちと草を抜いていると、コツを掴んだのか始めよりも更に早いペースで草を抜いていた万能草刈り機キリの手が突然止まった。
シカ 「どうしたんだ?」
キリ「伏せて」
シカ「!!」
ぐっと体をおさえられると、先ほどシカマルが居た場所に起爆札が飛んでくる。