第27章 草刈り機
そんなキリを狙う輩に、激しい憤りの気持ちがわいてくる。
シカク(お前は、知っているのか)
キリが、人と関わることに恐れや申し訳なさを感じていることを。
シカクに迷惑をかけまいと、こちらがそんなに頑張らなくても大丈夫だと言いたくなるぐらいに、いつだって全力で。
三ヶ月で出来るようになれば上出来だと思っていた技を、死ぬ物狂いで十日で完成させてしまような、人には見せない努力をするキリを。
他人を突き放そうとするが、本当は誰よりも周囲を見て行動し、自己犠牲も厭わずに相手の事を考える心の優しい子である事を。
お前は知っているというのか。
決して、誰かから忌み嫌われるような、命を狙われるような、そんな人間ではないのだ。
シカク「はぁ」
もう今日何度ついたかわからない溜め息をついて、シカクは一枚の紙に視線を落とす。
そこには「Dランク任務:敷地一帯の草むしり」と書かれている。
このようなDランク任務は、もうキリ一人で十分なのだが、あの事件からは必ずどんな任務でも自分と共に行うようにしていた。
しかし、今日はどうしても外すことの出来ない仕事がある。
下忍のDランク任務も、木ノ葉の里を支える重要な役目があることはわかっている。
いつまでも、受けられる任務を断り続けることが良くないことである事も。
シカク(仕方ねー……)