第27章 草刈り機
木ノ葉隠れの里、中心部。
上忍以上の忍のみ出入りが許されている執務室で、シカクは一人、苛立ちを隠さずにいた。
シカク(くそっ、なんだってこんなに情報が出てこねーんだ)
キリの自宅襲撃から、もう20日近くが経った。
その間、絶えずに行っていた情報収集もまるで成果が得られずに終わり、シカクは持っていた資料を投げ捨てる。
シカクだけではなく、情報部隊にも捜索を頼んでいるにも関わらず、表に片鱗も出てこない犯人像に違和感を感じる。
シカクの予想で犯人は、キリの秀でた容姿からキリを狙う変質者、又は木ノ葉にいることを快く思わない者の仕業だと思っている。
前者であれば、まだ良かった。
腹が立つ事この上ないが、そいつさえ捕まえてしまえばそこで終わりだ。
しかし、単独で二度の襲撃を行ったのであれば、とっくの昔に捕まえてこの手でボコボコにしているはずだ。
シカク(それがここまで出てこないとなると……)
シカクは深く、ため息をついた。
前者にしても、後者にしても、相手はおそらく単独犯ではない。
そして、面倒なことにキリを狙っているのは十中八九、後者のキリを〈木ノ葉にいることを快く思わない者〉であるだろう。