第4章 初演習で
シカ「おい、あそこまでする必要あったのかよ」
そう言ってキリを睨めば、去っていくイルカの姿を見続けていたキリがこちらを向いた。
シカ「チョウジもヒナタも、お前が折った時にもう勝負は決まってただろうが」
そう言えば、無表情なキリの顔がほんのわずかに戸惑っているようにも見えた。
キリ「…………………」
シカ「おい?なんとか言えよ」
キリ「…………あ「あんたがそんなだから、里から追い出されるのよ!!」
何かを言おうとしたキリの言葉と重なって、怒号が飛んでくる。
キバ「追い出された?」
「そうよ!この子、自分の里から追い出されて、木ノ葉に来たんだから!!」
ざわざわとみんながその話題に食いついて、キリは少し視線を落とす。
みんなは遠巻きにキリを囲むようにして、容赦なく言葉の針を刺していく。
シカ「…さっき、何て言おうとしてたんだ?」
キリ「…………………」
結局、そのあと誰に何を言われてもキリは口を開くことはなくて、イルカが戻るまで、キリへの中傷や非難は続いた。
* * *
ー その後の二人 ー
キリ「…折ることは反則ですか?」
イルカ「違う、そうじゃない」
キリ「…殺してない」
イルカ「キリ…悪かった。お前の実力を知らなかった俺の責任だ」