第4章 初演習で
2度打ち合ったあと、キリの肘がヒナタの腹に入ったのが見えた。
一度宙に浮いたヒナタが、地面を転がる。
ヒナタ「ごほっ、ぐっ」
キリが血を吐き出したヒナタに蹴りを入れると、勢いよく場外まで吹っ飛んでいった。それを確認して、キリはやっと呼吸が整ってきたチョウジへと向かっていく。
1発、2発、3発と続けざまに打撃を入れて、チョウジの左腕を手に取る。
次の瞬間、ゴキッと嫌な音がして、その腕は不自然な方向へと曲がった。
チョウジ「ぅぁぁあああっ」
その時に、きゃーと女たちが悲鳴をあげたが、キリの表情は変わらない。それどころか曲がった腕に蹴りを入れて、チョウジはごろごろと転がっていく。
シカ「なっ」
イルカ「キリ!!」
続けて、蹴りを繰り出そうとしていたところでイルカが間へと入る。
イルカ「試合終了だ!!」
シカ「チョウジ!!おい、大丈夫か!?」
腕を押さえてうめくチョウジに駆け寄れば、額には大量の汗が滲んでいる。
その向こうでは、いのがヒナタに付き添って、処置のため周囲に指示を出していた。
それを見た周囲からキリへと非難の言葉が飛び交う。
「さいてー!そこまでしなくていいでしょう!?」
「うわー、えげつねー」
非難の中心にいる人物は、いのに抱えられイルカのもとへ連れてこられたヒナタと、腕を押さえて呻くチョウジを見つめていた。
イルカ「すぐに2人を医療室へ運ぶ!みんなは俺が戻るまで自習だ、教室へ戻れ」
チョウジとヒナタを抱えて、イルカが医務室へと走った後、シカマルは立ち上がった。