第25章 旅芸人
シカク「そうか、良かったな」
キリ「っ……」
満足そうに笑うシカクに、もう何も言うことが出来なくなって。
キリに突き刺さる周囲からの視線。ぎゅっとシカクの頭を抱えて、出来るだけ身を小さくして耐えるしかなかった。
次第に顔に熱が集まっていくのがわかる。
シカ「っふ、くっ……」
シカマルは呆然と、突拍子もない父親の行動を見ていたが、つい顔を赤くしてその身を縮めているキリに笑いがもれてしまった。
シカ(キリもこんな顔すんだな)
いつも飄々としているキリの、普段とはまるで異なるその姿に笑っていると、キリからの視線を感じた。
キリ「……………」
ジッとこちらを見つめてくるが、そんな風に頬を赤く染めた顔で睨まれても、いつものような覇気はまるでない。堪えようとしても笑いが溢れて仕方がなかった。
シカ「わ、わりぃ……ふ、くくっ ぅお⁉」
堪えきれない笑いに体を震わせていれば、突然その体が宙に浮いた。
シカク「ほらシカマル。お前も」
まるで米俵でも持つかのように、脇に抱えられたシカマルは不平をもらす。
シカ「なんか雑じゃねーか?てか、俺はしなくていいっつーの」
シカク「お前も肩車が良かったか?」