第25章 旅芸人
修練場に、ばしばしと体がぶつかり合う音が響く。
キリ「もっと早く返して」
シカ「っ、おう」
シカマルは以前、まともに受けることも出来なかったキリの打撃を一手、二手とさばく。
しかし、修行を重ねてやっとのことで受けることが出来るようになったはいいが、なかなかどうして重くて速い攻撃に、反撃をする事が出来ないでいた。
シカ(いつまでもやられっぱなしのままで……っいられっかよ)
キリの足が近付いてくるのが見えたが、知ったことかと玉砕覚悟でシカマルは自らの右手を突き出した。
それはキリの攻撃が当たる寸前の、本当にギリギリのところであったが、シカマルの手の方が先に振り抜かれた。
キリ「っ!!」
どっ、と重い音がして、後ろに後ずさったキリは腹に両手を当てている。
シカ「!! キリっ!」
キリ「甘い」
シカ「ってぇ」
キリへと駆け寄っていけば、以前と同じ様に足を払われて、シカマルは尻もちをついた。
キリ「ガードの上。あなたの攻撃は入ってない」
そう言って、腹の上でクロスしている腕を見せてきたキリに、シカマルはジンジンと痛む尻をなでながら立ち上がる。
どうやら、体術でキリに追いつくことが出来るのはまだまだ先の話であるらしい。