第24章 ひな鳥
キリ「私が、食べても……いいんでしょうか」
たくさんの人達の日常を奪った自分が、その日常を過ごすなんてことが、許されるのだろうか。
【少しでいいから、自分を許してあげて】
ヒナタに言われた時から、ずっと頭の隅にあったこの言葉が心に浮かんだ。
シカ「いいに決まってんだろーが」
きゅっと左手の包まれている力が強くなった。
シカク「当たり前だ。いっぱい食って大きくなれよ」
そう言って、口角を上げたシカク。
ヨシノ「そうだよ、食べてくれたら私も嬉しいからね」
にこりと目を細めるヨシノ。
シカク「おいおい、なんて顔してんだ」
シカクは困ったように笑って、わしゃわしゃとキリの頭をなでる。
涙が滲んで、ぼやけてきた視界に、キリは必死でそれが溢れてしまわないように堪えた。
キリ「……いただきます」
小さくそう言って、キリは初めて、自分のために用意された箸を手に取った。
久しぶりに食べる食事を、全て食べきることは出来なかったが。
キリが食事を終えるまで、固く握り続けていたこぶしを、シカマルはずっと包んでくれていた。