第24章 ひな鳥
ぐるぐると、考えが一周回ってまた一周、または行ったり来たりを繰り返しては、また戻る。
キリ(……わからない)
まさか木ノ葉に来てからこんなタイミング、こんな内容で、こんなにも頭を抱えることになるとは、思ってもいなかった。
ヒナタと別れた後、亀よりも遅いスピードで帰路を進んでいれば、少し離れたところから聞き慣れた声が耳に入る。
シカ「どうすんだよ」
シカク「だからさっきから言ってるだろーが」
どうやら、玄関先でシカマルとシカクが揉めているらしく、何やら言い争いが聞こえてきた。
シカク「待機だ。キリも今は警戒して外出してるはずだろう。俺はキリの対応力を信じる」
シカ「でもあいつ家出る前、すげぇ具合悪そうでーー」
シカク「馬鹿野郎、どうしてそれをもっと早く言わねぇんだ! キリが危ねぇだろうが! 行くぞ!」
シカマルが言い切るよりも早く、シカクが怒号を飛ばして、家から駆け出てくる。
そんなシカクの後に、シカマルももちろん続いた。
家の門を出てすぐ、シカクはキリと出会って急停止する。
シカク「っ!」
キリ「…………」
シカ「ぶっ、いってぇ、なんで急に止まっ……」
急停止したシカクの背中に、顔面からぶつかったシカマルが文句をひとつ。告げきる前に、キリの存在に気が付いた。
キリ「……どちらへ?」
シカク「その、なんだ、なぁ、今日は星が綺麗だ。散歩でもしようかと思ってな」
シカ「お、おう。キリ、も、一緒にどうだ」
シカ(……いくらなんでも厳しくねーか)
シカク(うるせぇ、他に誤魔化すいい方法もねーだろーが)
キリ「……結構です」
すたすたとキリは、過保護すぎる二人を通り過ぎて、玄関へと入っていく。