第24章 ひな鳥
その少し前に、ヒナタも自分のことが許せないと、小さくもらしていた。
もしかすると、自分自身を許すことが出来ないヒナタの手伝いをしろという意味だったのだろうか。
その方が、話しの流れ的には合っていた。
彼女の独特な話し方に、キリが話の本質を捉え違った可能性は大いにある。
日向ヒナタ。彼女は目立つような人物ではなかったが、人の良い人物であるだろう。
常に自信の無さげなヒナタだが、言動の片鱗から、彼女の優しさや人の良さはじゅうぶんに伝わってくる。
もし、そんな彼女が、自分を許せないから手伝いをして欲しいというのであれば。
こんな自分では全くもって足しにはならないかもしれないが、それには全身全霊でこたえたいと思う。
そうであれば、良かった。
しかし。
キリ(……違う……と、思う)
あれは。あの言葉は。どうにもキリ自身に向けられているような気がするのだ。
キリ(…それで……)
その後の展開にもまた、頭の理解が追いついてくれない。
ヒナタは最後に、良ければ自分と友達になってくれ、と言って走り去っていった。
キリ(これは、言うことを聞いてくれに含まれているの……)
良ければと、言っているのだからただの個人的なお願いであって、違うのだろうか。
しかし、彼女は丁寧かつ謙遜をしながらの言葉を選んで話す傾向があるため、ここまでが彼女の[言うこと]なのかもしれない。
だがしかし、そもそも友達になってくれとはなんだ。
一体何故、彼女は自分にその言葉を発するに至ったのだろうか。
何もかもが分からなくて、考えがまとまらなかった。