第22章 子供の宿命
しばらくして家に到着すれば、玄関の前で待っていたヨシノと目があった瞬間、二人と同じようにキリはヨシノにも怒鳴られることになった。
夜も更けていて近所迷惑になるからと家に入り。今は四人で居間にいるのだが、キリは何故か正座である。
異様な空気を放つヨシノから「座って」と言われて、自らの身体が瞬時にとった行動がこれだったのだ。
ヨシノ「こんな時間まで何してたんだい」
キリ「森を……少し行ったところの川べりに居ました」
ヨシノ「あんたが家を出たのは朝だったね?」
キリ「……はい」
何故だろうか。
怒鳴っているわけでもない、静かなヨシノが怖い気がするのは。
ヨシノ「今は?」
キリ「……子の刻です」
もう日付けも変わろうとしている。
シカ.シカク(っ!!)
すうっと息を吸い込んだヨシノに、何故かシカクとシカマルが緊張した面持ちで身構えていた。
ヨシノ「女の子がこんな時間まで外をうろついてちゃ駄目でしょうが!!」
キリ「私は……私はそこまで、弱くはありません」
特に今は、刺客の存在に気を配っているところで、いつでも戦闘が始まる心構えは出来ていた。
しかし、ヨシノはそうじゃないと首を横に振った。
ヨシノ「子供がこんな時間まで帰ってこなかったら、心配するに決まってるでしょう!!」
キリ「!」
突如、ヨシノの目から涙がこぼれた。
ヨシノ「何か、何かあったんじゃないかと……。私が一人でも大丈夫なんて言ったから、誰かに襲われでもしたんじゃないかって……」