第22章 子供の宿命
そして、しばらくして。
腕の中で完全に固まってしまっているキリのために、その体を解放してやれば、キリはとても困惑した様子だった。
何か言おうとしているのか、そもそも考えがまとまっていないのか。
普段とは異なり、たどたどしいキリの様子が珍しい。
困ったその表情すらも愛しく感じて、シカマルはさらりと風に流れたキリの髪に触れる。
シカ(失うなんて、耐えれねー)
いつの間にか、増大していた気持ちに苦笑いが溢れた。
そして、シカマルはある見知った気配がここへと近付いてくるのに気付く。
シカク「キリ! シカマル!」
先ほどのシカマルと同じようにして、森を抜けてきたシカク。
キリ「わっ」
シカ「うおっ」
二人まとめて抱きしめられて、二人はシカクの腕の中におさまった。
シカ「ちょっおい、なんで俺までっ……」
キリ「シカクさ……」
ぎゅっと一度抱きしめられて、それはすぐに離される。
シカクはちらりとキリとシカマルを見て、どうやら事が大事ではなかった事を悟ると、右腕を振り上げた。
シカク「この大馬鹿が!」
キリ「いっ」
ゴンッと大きな音がして、振り上げられた右腕はキリの頭上へと落とされた。