第22章 子供の宿命
キリの外出後。
奈良家ではそれぞれ思うところはあっても、夕刻まではみんな普段通りにしていた。
しかし、夕食も風呂の時間もとうに過ぎてもキリが戻って来ない。
これ以上は待っていられないとシカマル、シカク、ヨシノは捜索に出た。
すぐにキリが家に帰ってくる可能性を考え、すれ違い防止のため、ヨシノは近所を回った後は家で待機。
シカマルとシカクが捜索を続けることになった。
シカクと二手に分かれ里中を探して、探す箇所は次々と減っていくのに、キリは見つからない。
それどころか聞き込みをしても、誰もキリを見かけてすらいなかった。
「もしかしたらキリは誰かに」なんて嫌な光景が頭に浮かんで、言葉にならない焦燥を感じた。
キリにとって、家がくつろげる場所ではないことは分かっていた。
だから、長く離れることも仕方がないと。
そして、キリはキリで実力者であったし、警戒しているキリがそう簡単に敵に遅れをとることはないだろうとも思っていた。
だから、シカマルたちは長い時を待ってしまった。
しかし、それは間違いだったのではないかと。
もし何かあったとすれば、自分たちは待ち過ぎたと、最悪の状況を想定して、心臓が激しく波打った。
シカ(頼むから……頼むから無事でいてくれ)
祈るような思いで、捜索を続ける。
里の主なところは全て探したが、それも見つからずに終わって、いよいよ小刻みに手が震えてきた。
シカ(落ち着け、俺が取り乱してどうなる)
どうにか震える手をおさえて、必死で頭を働かせる。
シカ(他には、どこがある)