第22章 子供の宿命
姿を確認するなり、こちらに駆け寄ってきたシカマルに力強く抱きしめられて、キリはその腕の中で身じろいだ。
キリ「っ!」
シカ「こんっのバカ!! 何してんだよ!」
突然そう怒鳴られて、シカマルの力は更に強まる。
息が苦しいほどに抱きしめられて、キリはある事に気が付く。
ぜぇぜぇと息を切らしたシカマルは大量の汗を流していて。心臓はどくどくとうるさいぐらいに鳴っていた。
キリ(もしかして……)
キリは、シカマルの態度に戸惑いを覚える。それと同時に「どうして」と疑問も抱いた。
シカ「……怪我はねーのか」
キリ「……ない」
シカ「こんなとこで何してたんだ」
自身を落ち着かせるように、キリへゆっくり問いかけるシカマルに、言葉が詰まる。
キリ「特に……ただ、川を見たり空を見てただけ」
シカ「いままでずっとか?」
その問いに頷けば、抱きしめる力が少し緩まり、シカマルは「はぁー」と息をついてキリの肩に頭を乗せた。
シカ「………良かった」
キリ(……っ)
小さく、耳もとで聞こえた言葉に、キリの心臓は掴まれたかのように痛んだ。
やはり、彼は自分を心配して、ここまで探しに来たんだろう。
その態度や言葉が
流れる汗と心音が
シカマルがどれほど必死になって自分を探していたのかが伺えた。
シカ「里のどこにもいねーしよ……お前に、何かあったのかと思った」