第22章 子供の宿命
ただぼんやりと川べりに佇んで。
一体どのくらい、こうしていたのだろうか。
まだ高くにあった日も落ちて、とっぷりと夜がふけている。
何をするでもなく、ただここに居た。再びあの家へ戻ることを思うと、酷く気が重くて、足が動かなかったのだ。
もういいから、戻ってしまおうか。
三代目が用意してくれたあのアパートに。
いくら危ないからと言われても、そこまで言うことを聞く必要はあるのだろうか。
この隊長命令は適切なのだろうか。
キリ(何も出来ない子どもじゃあるまいし……)
これでも、戦闘能力や危機管理能力には少しばかり自信もあった。
今夜、自分はもとの住居へと戻ると伝えよう。そう決心する。
キリ(……嫌、だな)
あの三人がいる家へ戻ることも。
そして、これ以上ないほどに自分に優しくしてくれたみんなに、先ほどの決意を告げることも。
それを言って、彼らがどんな顔をするのだろうと思えば、気が滅入って仕方がなかった。
あと、あと少しだけこうしたら、奈良家に戻ろうと溜息をついて、夜を映して真っ黒になった川を見つめる。
今日は一日、こんな風に不毛な事を繰り返していた気がする。
そうしてすぐに、猛スピードでこちらへ駆けてくる気配に気が付いた。キリはいつの間にか下がっていた顔を上げて、気配がした方角を見る。
キリ(……これは)
シカ「っ、はぁっ、はっ」
森を抜けて、辺りを見回すシカマルと視線が混じる。
シカ「キリ!!」