第22章 子供の宿命
食事の後片付けが始まり、キリはシカクに申し出る。
キリ「このあと、出かけます」
シカク「おぉ、どこ行くんだ?」
キリ「特に……決めてはいません」
シカク「そうか、気をつけろよ」
奈良家での生活が始まってすぐは、キリの身を案じたシカクによって、一人での外出を禁じられていた。
少し外へ出ようとすれば、シカマル又はシカクのお供がつく。
それを見兼ねたヨシノが「それじゃあキリが窮屈だろう」と過保護すぎる彼らに進言したのである。
それでも「何かが起こってからじゃ遅い」と食い下がる二人と、「キリの自由も大事」というヨシノの三人で、家族会議が開かれていた。
その結果、キリは外出の旨を誰かに伝えれば、一人でも外へ出ることかま許されるようになったのである。
出かけることを伝え、キリは居間を後にする。
放っておけばそのままついてきそうなシカクの首ねっこを掴んで、ヨシノは「いってらっしゃい」とキリに手を振って見送った。
何か特に目的があるわけではなかった。
しかし今日は丸一日任務も修行もなく、家に一日中いるわけにもいかないので、キリはあてもなく木ノ葉の里をうろつく。
とにかく、今は一人になりたかった。少しのあいだだけでも、息をつける時間が欲しい。
森の中をふらふらと歩いて、たどり着いた川べりに座る。
その日はとても、良い天気で。
川の水は澄んでいて、鳥はさえずり、小さな野うさぎの姿も見える。
樹の里と似た雰囲気のそれを、キリは飽きることなく見つめていた。