第22章 子供の宿命
ヨシノ「あら、おはよう」
シカク「おっ早いなキリ、おはよう」
目が覚めてキリが居間に向かえば、ヨシノは朝食を作り、シカクがその完成を待ちながら、ヨシノとの会話を楽しんでいた。
よくヨシノがのんびりしている男連中に喝を入れているところを見かけるが、それはそれとして、この夫婦は仲の良い家族関係を築いているようだった。
そして今、ここへ入ろうとしている男もまたその内の一人である。
シカ「今日お前早くねーか」
はよ、と半分閉じた目でキリの隣の椅子に座るシカマル。
ヨシノ「キリが来てから、シカマルが起きるの早くて助かるわ」
シカ「なっ、んなことねーよ」
ヨシノ「あんた起こしても起きなかったくせに、何言ってんだい」
シカク「最近ではキリがおりて来たら、すぐにお前も来るからな」
シカクはにやにやと笑いながらヨシノが出した茶をすすり、ヨシノは手がかからなくなった息子に上機嫌な様子。
シカマルはそんな二人に、相手にしてらんねーよとばかりに少し赤みを帯びている顔を逸らす。
こうして、今日も穏やかな一日の始まりを遂げる。
いつものように四人分用意された食事。
そして、一切手をつけることなく終わった朝食。
間違いなくキリは、良好な関係を築く家族の輪を乱しているのに。
食事を作るヨシノも、普段よりも余分に食べているシカマルもシカクも、1度たりともキリに文句を言うことはなく、嫌な顔ひとつしなかった。