第90章 それぞれのご報告 ー猪鹿蝶編ー
いの「しっかしまぁ、あんたに先越されるなんてねー」
三角座りをして、立てている膝に肘をついて、いのは笑いながらため息をつく。
知っての通り、サスケに恋愛真っ最中のいのは、昔からませていて色恋については早熟だった。
いの「どう考えても、私たち三人の中ではシカマルが一番最後でしょー」
チョウジからも誰かが好きだとか、浮いた話を聞いたことはないが、チョウジは誰にでも温和で優しい性格をしている。
今はまだ周囲がその優しさに気付いていないだけで、いつかチョウジを大切に想う人が、きっと現れるだろう。
しかし、そんないのやチョウジと比べて、シカマルはどうだ。
いの「あんたなんか、全然興味ありませんみたいな顔してたのに」
いのにとって、シカマルは優しい奴だ。
だが、誰にでもシカマルは優しいわけではない。だからといって、常々冷たいわけでも、排他的なわけでもないのだが。
他人に〈興味がない〉というのが、一番近いのかもしれない。
身内には親身になるが、他人相手には非常に冷静で、客観的に接する。
それが、一見すると冷たく思われるのだろう。シカマルはそっけなく見えるのだ。
まず本人の性格が面倒くさがりな事もあり、自ら関わりに行く事もなければ、好感度を上げるようにいい人ぶるわけでもない。
いの「シカマル、くノ一から一切人気なかったわよ」
だから、アカデミー、そして下忍の今でも、同期からシカマルに好意を寄せている女の子というのは聞いた事がなかった。
情報通ないのが知らないのだから、本当にいなかったのだと思う。