第90章 それぞれのご報告 ー猪鹿蝶編ー
今日は班で修業がある日だ。
チョウジといのに、話したい事があるから一時間早く来てくれと、伝えている。
生まれた時から、当たり前のようにそばにいた二人。
それどころか両親、いやもっと前の先祖代々から縁のある幼馴染は、もはやシカマルの人生に不可欠な存在だ。
シカマルが両親の次に報告する相手と言えば、ここしかないだろう。
ちょうど、秋道家の前を通ろうとした時、チョウジが出てくるのが見えた。
チョウ「シカマル」
シカ「おう」
右手を上げて挨拶すれば、チョウジは持参したお菓子の袋を開ける。
チョウ「良かった」
パリパリとポテチを食べながら、チョウジは一言そう告げた。
差し出された袋から、シカマルも一枚だけポテチを貰って、二人は自然に並んで修練場へと歩き始める。
シカ「何がだよ?」
チョウ「良い話みたいで」
わざわざ改まって話があると言われていたそれが、悪い話ではないことに、チョウジは肩の力を抜いた。
シカ「……そんなにわかるか?」
チョウ「それぐらいわかるよ」
シカマルの顔がにやけているだとか、いつもよりテンションが高いとか、そういった言動はないはずだが。
やはりこの親友には、隠し事は出来なさそうだ。
続いて、いのも修練場で合流する。
時間よりも少し早く着いたシカマルとチョウジよりも先に、いのは修練場に到着していた。
いの「シカマル! チョウジ!」
木を背もたれにして、ぽつんと座り込んでいたいのは、シカマルの姿を見つけるやいなや駆け寄ってくる。
いの「ちょっと、あんたたち遅いじゃない!」
チョウ「いの、まだ時間よりも前だよ」
いの「だってそれは、シカマルが……」