第5章 柱合会議
炭治郎はふと目線端に名前を見つけた。
甘露寺の後に続いて中庭に来た名前は柱達の話し合いを少し離れた場所で聞いていた。
まだ名前は正式に柱になった訳ではなかったため、自由に発言する事が出来なかったのだ。
「名前さ……ん、っ、ゲボっ、げほ…」
喉が潰れているのか声が上手く出せずに咳き込む。
柱達は名前が炭治郎と知り合いだと気づくと名前の方を向く。
「名前、お前コイツの事知ってんのか?鬼を連れていることも知ってるのか?」
音柱である宇髄天元がギロリと鋭い目線を名前に向ける。
『知ってはいました。が、お館様も把握なさっていると聞いたもので』
柱達の厳しい視線に臆する事なく名前は淡々と答えた。
「いくらお館様が把握されているからと言っても、鬼は駄目だろう!!名前!!なぜ斬らずに居た!」
煉獄が声色を強めて言う。
当然の反応だろう、名前自身も禰豆子を初めて見た時は同じような反応をした。
煉獄の言葉に返事を返せないでいると、甘露寺が控え目に言う。
「で、でも……お館様が把握なさっているという事だったら、お話を聞いてもいいと思うのだけど……勝手に処分しちゃっていいんでしょうか?」
「い、妹は俺と一緒に戦えます!!鬼殺隊として人を守るために戦えるんですっ!!」
痛む体を軋ませながら叫ぶ炭治郎に、遠くの方から荒々しい声が聞こえた。
「鬼を連れたバカ隊員はそいつかい?一体全体どういうつもりだァ?」
不死川が禰豆子の入った箱を持ちながら現れた。
「不死川さん、勝手な事しないでください」
しのぶが機嫌を悪くしながら言うも、不死川は聞く事無く禰豆子の箱を弄び刀に手を掛けた。
「富岡も規律違反だしよォ、名前も鬼の存在を知りながら野放しにしてたなんてよォ……」
不死川は富岡、次いで名前に視線を写しながら再度炭治郎を見た。
「鬼が何だって坊主ぅ、鬼殺隊として人を守るために戦える?そんな事はなァ、ありえねぇんだよ馬鹿がァ!!!」
その瞬間
不死川が叫びながら勢い良く禰豆子の箱に刀を突き立てた。