第5章 柱合会議
「いつまで寝てるんだ!!さっさと起きねえか!!」
炭治郎は遠い夢から強制的に呼び戻される感覚に目を開けた。
身体中がとてつもなく痛いし、腕が縛られているのか動かない。
「柱の前だぞ!!!」
怒号に目線をあげると、炭治郎は見た事のない人達に囲まれ見下ろされていた。
柱?柱ってなんだ?なんの事だ?
この人達は誰なんだ、ここは何処だ?
炭治郎が困惑しているとその疑問に答えるかのように胡蝶しのぶが一歩前に出て話す。
「ここは鬼殺隊の本部です。今から貴方は裁判を受けるのですよ、竈門炭治郎くん」
柱達が炭治郎の処分について意見を出し合っている。
大体が鬼である禰豆子を殺し、炭治郎を処罰しろとの意見であった。
その中で思い出す、那田蜘蛛山での出来事。
善逸や伊之助、村田さんは無事なんだろうか。
それに禰豆子、禰豆子はどこだ。
処分についての話し合いをしてる事から殺されては居ないと思うが、多分危険な状況だ。
「それより富岡はどうするのかね、拘束もしてない様に俺は頭痛がしてくるのだが」
木の上に息を潜めていた蛇柱の伊黒小芭内が痺れを切らしてそう呟く。
伊黒の視線の先には富岡が一人離れた位置に立っていた。
炭治郎は富岡の名前を呼ぼうとするが、喉が潰れているのか声が出ない。
その様子を見た胡蝶しのぶが炭治郎に鎮静剤入りの水を飲ませ、少し楽になったのか炭治郎は声を出せるようになり必死に声を絞り出した。
「俺の妹は鬼になりました。だけど人を喰ったことは無いんです、今までも、これからも。人を傷つけることは絶対にしません」
炭治郎の必死の言葉も、身内を庇うが故の言葉と捉えられ柱達に拒否される。
「聞いてください!俺は禰豆子を治すために剣士になったんです!禰豆子が鬼になったのは二年以上前の事なので、その間禰豆子は人を食ったりしていない!」
これだけでは理解してもらう事は難しいと分かってはいるが、今はこうやるしかない。
すると音柱の宇髄天元が頭を抱えてため息をつく。
「話が地味にぐるぐる回ってるぞアホが。人を食ってないこと、これからも食わないこと、口先だけじゃなくド派手に証明してみせろ」
そう言われて炭治郎は言葉が出なくなる。
確かに、炭治郎に今それを証明する術はなかった。