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日の守護者【鬼滅の刃】

第3章 もう一つの呼吸


「名前」
『っはい、すいません……』


産屋敷の声に、名前は我に返った。
昔の事を思い出していたせいで産屋敷の言葉が頭に入っていなかった。



「天の呼吸を使うと言う事は、鬼舞辻にいよいよ近づくという事だと思っている」
『……はい、承知しています』
「力を貸してくれるね」





産屋敷の言葉に名前は深く頭を下げた。




あの日、名前の家から感じた鬼の気配は間違いなく鬼舞辻無惨だ。
おそらく天の呼吸が鬼舞辻に漏れた訳ではなく鬼狩りの家だから名前の家を襲撃したのだろう。
父さんと母さんは抵抗した痕跡がなかった。
死の間際でさえ呼吸を使わなかった。

その日、最終選別に行っていたおかげで、名前は運よく生き残る事が出来た。



……


なぜ名前が家族を襲ったのが鬼舞辻だと分かったか。




名前には兄がいた。


名前同様鬼殺隊に入っていた兄だったが力が及ばずに天の呼吸を会得していなかった。



そして、あの日家にいたはずなのに、死体がなかった。





あの時、鬼舞辻と共にもう一人の鬼の気配が残っていた。

多分それは、鬼舞辻に鬼にされた兄だ。

父親と母親を姿が分からなくなるまで貪ったのも、多分兄だ。






この事はお館様に秘密にするように言われている。
表向きには兄も形が分からなくなるまで鬼に貪られ、死んだ事になっている。








天の呼吸が鬼舞辻に漏れていないのは兄が呼吸を習得していないからだろうか。
今日まで名前は鬼舞辻に狙われて居ない事を考えると、そういう事なのだろう。








「名前、十二鬼月と思われる鬼の情報が入っている……倒してきてくれるかい?」
『承知』


産屋敷はこれで鬼舞辻に本格的な宣戦布告を仕掛けるつもりだ。
その意図を組み、名前は今一度決心する。


「名前」
『はい』

「鬼殺隊に入った日に両親を殺され……そのまま戦う事ができなくなってもおかしくなかった……鬼と戦い続けてくれてありがとう」


お館様の言葉はいつも自分を思ってくれている。


『俺が俺でいれたのはお館様のおかげです』






お役目をしっかり果たさねば。



――――この「天の呼吸」を使って……
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