第1章 #1 山奥の少女
ピピピッ、ピッ
静かな山に小鳥たちの歌声が響く
都会の少し外れの山奥に
1つぽつんと建ったその家
なんとも古い造りで今にも崩れそうな小さな木の家
そこにはたった1人少女が住んでいた
今日も彼女は小さい体で鹿と鬼ごっこをする
(しかさんまってー)
彼女はグッと足に力を入れ加速する
グシャッと枯葉の割れる音がしたかと思えば
それは舞い散る
彼女の姿はもうそこにはなく
鹿を全身で捕まえていた
到底4、5歳かと思われる彼女からは
出てくるわけない力だった
彼女は両手で鹿の首を持ち
ズルズルと家へ引っ張っていく
ザッ…
近くに枯葉の踏まれる音がする
そっと彼女は音のする方へ目を向ければ
なんとも言い難い呻き声を上げたモノが
そこにはいた
彼女は怯えるわけでも、逃げるわけでもなく
ソレへ歩み寄り
パンっと拳で倒した
そして何もなかったかのように
またズルズルと鹿を引きずっていった