第7章 大切に、、、
「、、、鈴音。」
悲鳴嶼が居間の襖を開けると、縁側に鈴音が座っている。猫三匹も側にいる気配がする。
「どうされました?悲鳴嶼さん。」
「、、、これを渡そうと思って。」
悲鳴嶼は手に持っていた、小さな包みを渡した。
「ありがとうございます。開けてみてもいいですか?」
「、、、あぁ。」
鈴音が包みを開くと、中から綺麗な音の鳴る鈴が出てきた。
「まぁ、素敵。ありがとうございます。」
「、、、厄除けの鈴という物らしい。鈴音に似てる気がして買ってきた。」
「悲鳴嶼さんには、私の声はこう聞こえてるのかしら?」
鈴音がもらった鈴を鳴らす。悲鳴嶼の耳に、その音は良く馴染んだ。
「、、、あぁ。君の笑い声のようだ。」
悲鳴嶼が微笑む。その悲鳴嶼の顔に、鈴音はなんとなく恥ずかしくなってしまう。
「、、、少し早いが薬を塗ろう。湯浴みをしてきなさい。」
「わかりました。」
チリンチリン、と鈴の音をさせながら、鈴音は湯浴みに向かった。