第6章 あなたは、、、
「、、、何だ?」
「いえ、悲鳴嶼殿もそのような顔をされるのかと。」
「、、、そのような顔?」
「えぇ、男の顔をしておられる。鈴音殿が特別なのですね。」
悲鳴嶼は何も言わない。
「失礼します。お茶をお持ちしました。」
鈴音が部屋に入ってくる。なんとなくさっきと雰囲気が違う気がして、悲鳴嶼と煉獄の顔をそれぞれ見た。
「お茶か。頂こう。」
鈴音は煉獄の湯呑みにお茶を注ぎ、そのまま悲鳴嶼の湯呑みにもお茶を注ぐ。
「、、、すまないな。」
「これくらいお安い御用です。」
鈴音がニコッと笑う。
「俺はこれで失礼する。」
唐突に煉獄が立ち上がる。さつまいもの天ぷらは全てなくなっていた。
「大したお構いも出来ませんで。」
「料理は大変美味しかった。馳走になった。
悲鳴嶼殿、失礼します。またお願いします。」
煉獄は深々と一礼すると、帰って行った。
「賑やかな方でしたね。」
鈴音が夕餉の片付けをしながらそんなことを言った。
「、、、鈴音。」
「はい、なにか?」
「、、、鈴音は、、、いや、いい。忘れてくれ。」
煉獄の事、どう思った。聞こうとして聞かなかった。
「???
変な悲鳴嶼さん。」
鈴音はコロコロと笑った。