第6章 あなたは、、、
「、、、鈴音、ちょっといいか。」
「悲鳴嶼さん、どうされました?」
炊事場にいる鈴音のもとに、悲鳴嶼がやって来た。
「、、、急で悪いが、明日来客がある。夕餉の用意を頼めるだろうか。」
「そんなこと、お安い御用です。どなたがいらっしゃるんですか?」
「、、、同じ鬼殺隊の者だ。時間があるようなら稽古をつけて欲しいと頼まれてな。」
「そうなんですね。わかりました。腕によりをかけて作りますね。」
「、、、あぁ、頼んだ。」
悲鳴嶼は鈴音の頭をぽんぽんと撫でた。
次の日のお昼過ぎ、玄関から大きな声がした。
「悲鳴嶼殿、いらっしゃるだろうか。」
その声に鈴音が慌てて玄関へ向かう。
「いらっしゃいませ。お待ちして、おり、ま、した、、、」
玄関に立つ人物を見て、鈴音の動きが止まる。そのままその場に膝をつくと、頭を下げた。
「どうしたのだ?君は誰だ?悲鳴嶼殿はいらっしゃるか?」
「、、、ずっとお探ししておりました。」
鈴音が頭を上げる。その目からは涙が流れていた。
「あなたに助けられたこの命。いつかお会いしてお礼を申し上げたく思っておりました。」
再び鈴音が頭を下げる。今でも忘れない。暗闇の中助けてくれたのは、炎のような人だった。
「、、、鈴音、落ち着きなさい。」
悲鳴嶼が鈴音の後ろからやって来た。鈴音が顔を上げる。
「良く見なさい。彼は君と同い年だ。彼は君を助けた恩人ではない。」
「なんと。君は鬼から助けられたことがあるのか。それならきっと俺の父上だろう。俺と同じ髪の色をしているからな。」