第1章 1ページ目 初日!
……え、もしかしてこれって…?
再びゆっくりと夏油くんへ視線を向ける。
真剣な顔でこっくり頷かれた。
「さっき君が結界を作り出したときにちょうど巻き込まれたらしい。圧縮されて粉砕されたんだろうね、見事に粉々だ」
そ、そんなあっ…。
わたしはがっくり項垂れた。
しゃがんで粉々になった元キャンディーを見つめる。
せっかく硝子ちゃんからもらった棒付きキャンディー。
……なめたら甘いかな?
ふんふんと匂いをかいだら、ほんのりバナナとイチゴの香りがするような。
「…あれ、イケる?」
「こらこら、何を考えてるんだ?」
「食いしん坊かよ、やめろ」
二人がかりで止められた。
それから夏油くんによしよしと頭をなでられて。
五条くんからさっきあげたクッキーの残りを口に突っ込まれて。
しょうがないかぁーと諦めてクッキーをもぐもぐしておいた。
おいしいなぁやさしいなぁ。
五条くんも夏油くんもありがとうごっくん。
硝子ちゃんにはアメ落としちゃったごめんねって謝ろう。
……そういえば硝子ちゃん、どこ行ったの?
「ごめん。巻き込まれたらたまんないし、逃げたついでに一服してきた」
しばらくして戻ってきた硝子ちゃんは喫煙ポーズでそう言った。
「は可愛いし好きだけど、危険度で言えば申し訳ないけどあのクズ共と同レベルだから」
硝子ちゃん、ひどいっ。
傷ついたけどそんな正直なところ嫌いじゃないっ。
「でも、そこがの長所でもあるよね。私は戦闘には向かないからちょっとだけ憧れるよ」
硝子ちゃん、しゅきぃ…。
思わず硝子ちゃんの細い腰に抱きついた。
「おや、羨ましいね」
「硝子、イケメンやめろ」
んーふふ、気分よすぎてこわいくらい。
これから楽しいがいっぱいの予感がする。