第10章 7ページ目 初めての任務(2)
なんて、気合を入れていたのに…本当にまったく必要なかった。
大きいのは五条くんが加減したほんの数発で弱らせて戦闘不能にしちゃったし、うじゃっといた小さいのは夏油くんが出した呪霊が一気にずああーぱっくん!て飲み込んじゃった。
えええ、早すぎない?
ふたりとも手慣れてる?
まったく緊張しない理由がわかった気がするよ…。
それでも油断大敵!なので、一応まだ結界は解かずに完全に終わるまで見守ることにする。
夏油くんが大きい呪霊に近づいて印を組むと、しゅるると呪霊が縮んでいき夏油くんの掌の上でころんと黒い球体が転がった。
なんとも禍々しい、汚い色合いだ。
んー、そろそろいいかなぁ?
「終わったな」
隣で同じく眺めていた硝子ちゃんの言葉によし、と頷いて結界を解く。
硝子ちゃんと並んでふたりの元へ行けば、夏油くんは手の中で黒い玉を転がした後、それを無造作にポケットへ突っ込んだ。
「五条くん、夏油くん、お疲れさま~」
「よ、お疲れ。早かったな」
「二人もお疲れさま」
「ま、当然だな。こんな雑魚ども、俺にかかれば秒殺だっての」
サングラスの位置をちゃっと指で直す姿もきまってしまう五条くんに、硝子ちゃんがフッと笑って返す。
「でも、さすがに瞬殺とまではいかないか」
「はぁ?できますぅー。傑が祓うなって言うから、一発で祓除しないよう気を使ったんだよ」
「そうかそうか、よくやった」
「なんで見てただけのお前が一番エラそうなんだ」
なにやら楽しそうにやり取りをはじめた二人はおいといて、微笑んでくれた夏油くんの方へと近づく。
目当ては、さきほどポケットの中に入れたアレだ。