第7章 5ページ目 体術の訓練。
基本的に呪霊を祓うのがお仕事だけど。
時と場合によっては対人間になることもある。
どちらにしても呪術師にとって、体術訓練は欠かせない。
もちろん授業内容にもしっかり入っているわけで。
今日も元気に訓練中でっす。
「ああ~もう五条くんと組むのいやだぁあ~~」
「おっまえフザけんなよ、俺だって傑と組みたいっつーの!体術苦手な硝子とお前の為にわざわざ分かれて組んでやってんだろうが」
だってさぁー…。
これまで何回か組んだけど、リーチに差がありすぎて手足がなっかなか届かないんだもんん~~。
ぶーぶー頬っぺを膨らませていたら、文句言ってんじゃねぇ、と五条くんにペンッと頭を叩かれた。
ぐっ、う…そこそこの力で叩いたなぁ?五条くんめ。
頭をさすりながら遠く離れた向こう側を見れば、硝子ちゃんと夏油くんが真面目に組手をしているのが小さく目に映る。
ううん、夏油くんは教えるのが上手そう。
わたしも夏油くんが相手がよかったなぁ…。
とはいえさすがに、わたしたちの為に組んでもらってるのに「いやだ」は言いすぎたかぁ。
めんご!
「言いすぎました、ごめんなさい。組んでくれてありがとうございます五条くん」
「ん、最初からそうやって素直に頷いとけよな」
…うふふ、五条くんは相変わらず五条さまだなぁ。
イラつきを通りこして、もはや微笑ましいとすら思えてくるよ。
「なんかその笑顔ムカつくんだけど、殴っていい?」
「イヤだよ!?」
さすがに理不尽すぎる!
ずさっと後退ったら、それが始まりの合図になったらしい。
五条くんが予備動作無しに、間合いを一気に詰めてきた。
とりあえず逃げたくて、さらに後ろへ下がるけど当たり前のように追いつかれる。
左右に身体を振っても思いきりしゃがんでも、全然誤魔化されてくれない。
ちっちゃいぶん素早さがウリなのに、この人余裕で上をひょいと超えてくから嫌だ。
「遅いっ、そんなんじゃすぐ終わるぞ」
「わかって、るぅ!!」
そんなに大きな体しておいて動きも速いとかどうなってるの?わたしにケンカ売ってるの?
縮んでしまえ。
こんなこと思ってる間にも、五条くんは遠慮なく拳や蹴りを繰り出してくる。
もう逃げるどころか、ギリギリ避けながら手や腕で払うので精いっぱいだ。