第4章 4ページ目 お花見わっしょい(1)
そよそよ。
窓を開けた教室のなかに、やわらかい風が入ってくる。
机に頬杖ついて外を見れば、とってもいい天気。
パステルブルーの空。
ふんわり白い雲。
たまに風にまぎれてやってくる、小さな薄紅色の花びら。
「……はぁ」
なんとなく吐き出されるため息。
コツコツコツ。
机をこづく音がして振り向くと、隣の席に座っていた五条くんがこちらを見ている。
やぁ、五条くん。
今日もすてきに真っ黒サングラスだね。
「溜め息なんか吐いてどうしたんだよ?珍しいな」
「わたしだって生きてるんだから、たまには溜めた息を吐きだすことくらいあるよ」
「そういう意味じゃねぇよ」
わかってんだろ。って、おでこを指でつつかれた。
とん、とん、とん。
う、う、ぬ……指先の力も強いな五条くん。
「うーん、なんか今日はアンニュイな心地というか…」
「あんにゅいい?」
五条くんが変な声をあげる。
「どしたの五条??」
「、悟がなにかした?」
「傑…なんで俺なんだよ」
廊下に近い方の席で、各々過ごしていた硝子ちゃんと夏油くん。
五条くんの声につられて、二人も近くにやってきた。
「それは日頃の行いの差ってやつだろ」
「は?人のこと言えんのかお前」
「あーぁ…」
あーもう、二人ともすぐにばちばちしないで。
硝子ちゃんは逃げる準備しないでぇ。
そう思うものの、わたしの口からでるのはやっぱり溜め息で。
「ほら、のやつなんかおかしいだろ?」
「そうだね。どうしたんだい?」
笑顔でにらみ合うのをやめて、五条くんと夏油くんが不思議そうな顔をする。
硝子ちゃんがそばに来て、わたしの頭をよしよしと撫でてくれた。
えへー…硝子ちゃんの手、きもちいー。
心地よさに思わず目を細めてしまう。
「いや、やっぱいつも通りだった」
「そのようだね」
「ねぇまって、もうちょっとつっこんで」
引き際がよすぎるよ。
もうちょっとこう、話を聞いてみるとかないのかな?
さみしい気持ちがわいてきちゃうよ?だだこねちゃうよ?ん?
「なら、さっさと話したいこと話せよ」
わかってるよぉう。
「ほんとに何かあるのかい?」
夏油くんはさらっと失礼!