Smile Again ~君の笑顔をもう一度~【短編集】
第1章 幼なじみ以上…?(ADB)
恵那side
翔一…。
なんやろ…翔一から呼び出すなんて…。
それに様子がおかしかった。
部活…終わらなければいいのにな。
しかしそういった時に限って終わりという時間は残酷なほど早く来るもので。
今「片付けはしっかりやりーよ」
この時ほど翔一が怖かった時もあらへん。
「う…」
今「…若松と桃井。ちょっとワシと恵那、先に上がってええか?」
若「いいっすよ」
さ「はい」
今「おおきに。ほな行くで」
私が連れて行かれたのは、桜の大木の下。
散った桜の花びらが、幻想的な空間を作る。
今「いい場所やろ?」
「うん…」
確かに綺麗な場所やが、翔一のことが頭いっぱいや。
今「…………」
翔一は一向に話す気配なしや。
「翔一…」
今「……のお、恵那」
!!
今「…恵那は、誰か好きな人居るんか?」
「は!?」
目が点、てのはこういうことを言うんやな。
わざわざ呼び出すもんやから…何言われる思ったら。
「な、何言うん?翔一…」
今「すまんのお、ワシ…自分がおかしなこと言っとるのはわかっとるんや。ただ…もう抑えられそうにないんよ」
「抑え…られない?何を…?…わっ」
グイッと腕を引かれ、着地したのは翔一の腕の中。
「…あ…?翔一?」
今「…………」
腕に力が込められ、何が起きとんのかわからん。
今「ワシなぁ…恵那が好きやってん。ずーっと…な」
え…?
今「けどな…お前の気持ちがわからんかった。もし、お前が他の誰かを好きやったら…下手に伝えて失敗したときを思うとな…怖くて言えんかったんや」
翔一が…私を?
今「ほんで今日…お前が青峰と屋上で楽しそうにしとったん見て……ひょっとしたら…」
翔一はその先を言わんかった。
まるで、言ってまうのが怖いみたいに。
けど、言いたいことはすぐにわかった。
ひょっとしたら…。
〈青峰が好きなんかも〉