第1章 休憩とおとぎ話
バルバットでの騒動が終わり、はや1年。
私はマスルールさん、アラジンはヤムライハさん、
アリババさんはシャルルカンさんを師匠につけてもらい、修行に明け暮れる日々が続いていた。
今私は休憩中で、王宮の中の散歩をしている。
晴れた空を仰ぎ見ながら歩いていると、はあー、とため息が聞こえてきた。
(あれは・・・アリババさんだわ。どうしたのかしら・・・?)
邪魔になってはいけないので、柱の影からそっと様子を見る。
「はあー、なかなかうまくいかねえな。未だに師匠に一太刀も浴びせられないなんてな・・・一体何が悪いんだ?
鍛錬でついた傷も少し痛むし、師匠が戻ってきたら聞いてみるか・・・」
どうやら彼は調子が悪いようだ。
私はその場から離れ、考えながら歩いた。
(私に、何かできないかしら・・・?
アリババさんには、恩返しがしたいし・・・)
料理を作れば、喜んで食べてくれるかしら?
でも私は、料理は出来ないわ。
何かプレゼントしたら、喜んでくれるかしら?
でも私は、何も持っていないわ。
王宮の中庭の噴水の前で座り込み首を傾げる。
すると、空から聞き覚えのある声が聞こえてきた。