第1章 実習先、間違えました!!
「は…っ、あ、っああ、ああーーーーッッ!!」
「こんなもん?」
「しら、な………っ、こんな、こんなの、習ってな………ぅあああっ、ま、た、それ………ッッ」
「もう降参?腹膨れた?」
「もういいッッ、もういいです!!おなか、いっぱ、っあぁ!!も、やらぁああ………ッッ」
数時間前。
「ふぅ。遠かったー。しんど」
なんでこんなに遠いのよ。
おかげで丸2日なんにも食べてない。
あーもう、お腹すいた。
リッカ ヴァン ブォナパルト。
これでも上級悪魔の血を引くれっきとした悪魔よ。
見習い悪魔の実習だってトップで終えたし。
成績だっていつもトップ。
後はこの実試験を受かれば晴れて父と並ぶ、悪魔になれる。
あたしやママを見くだす連中よりも先に一人前の悪魔になって、みんなみんな見返してやるんだから!!
一人前の悪魔になれば、魔法だってたくさん解禁される。
そうすれば。
そうすればきっと、ママだって、治せるわ。
「よし!」
気合い一発、初めての街中へと踏み出した。
のは、いいものの。
歩けど歩けど、なかなか見つからない。
『行けばわかる。一目でこれだ、とわかる相手だ』
とかなんとか言っちゃって。
全然わかんないし。
「あーもう、お腹空いたー」
「おねーさん、お腹すいてんの?」
「………」
まぁ、いっかー。
とりあえずお腹空いたし、適当に食べちゃおっか。
ペロリと舌舐めずり。
チャラいおにーさんへと視線を向けた。
「もうふつか食べてないの」
「え、まじ」
「お腹すいた」
「なんか食わせてあげよーか?」
「ほんとに?」
「うんうん、一緒においで」
にこりと、立ち上がり。
怪し気なおにーさんの、後を追った。