第29章 収穫祭の珍事

「んっ、」

時折りお湯がちゃぷんと跳ねる中、信長様は私を腕の中にしっかりと閉じ込めて深い口づけを続ける。

(だからお風呂場では嫌なのに……)

信長様に口づけられてその気にさせられると、場所とか自分がどんな姿でどんな顔をしてるのかなんてどんどんどうでもなくなっちゃうから…

「はっ、…っ、…んぅ」

大きな手は私の胸の形を様々に変えて楽しんでいる。

「んっ、」

のぼせるまで抱くつもりはないのだろう。
私の腰を掴んでいた手はお尻を伝い降りて濡れた私の中へ指を滑らせ濡れている事を確認すると、私のお尻を持ち上げた。

「きゃっ！」

急に体が持ち上がりバランスを保つため信長様の肩に手をつくと、熱を帯びた信長様の目と私の目が合った。

「っ……」

ドクンっと胸が跳ねて、顔に熱が集中し出す。

「その顔だ」

「え？」

「貴様のその顔だけが俺を堪らなく興奮させる。他の誰にも真似できん」

「っ……、何だか私…すごくいやらしい女みたいじゃないですか」

(信長様の顔が艶を放つみたいに、私にもそんな艶が出てるんだろうか？)

「いやらしく愛おしい女だ」

唇が重なり、体の中に信長様の熱いモノが入っていく。

「んっ、」

「伽耶」

もう、信長様の手の内だ。
今はうるさいほど耳に届くこのお湯の跳ねる音も、その内気にならなくなる程に、信長様との情事に夢中になってしまうだろう。

「っぁ、信長様、…のぼせないようにして下さいね」

「貴様もぶれんな。案ずるな、のぼせる前に褥へと運んでやる」

「っ……、約束ですよ」

「ふっ、つべこべ言わずに俺に集中しろ」

再び唇を重ねると、身体も深くまで繋がり合った。

「んっ、」

そのまま幽霊のことなんて忘れて私たちは熱い夜を過ごしたけれど……



〜後日〜


「待って信長様、一人にしないでください」

「はっ？」

私は、暫く夜が苦手になった。