第21章 深読み注意
「ヤバい、太ったかも……!」
そう思ったのは今朝の事。
いつものように信長様の腕の中で目覚めた後、朝餉へ行く支度を終えた私は化粧をしようと鏡をのぞいた。
(…あれ、顔むくんでる……?)
肌艶は良いけど、なんだか顎のラインに丸みが…
ハリがあるように見えるのはもしかして肉がついたからじゃ…!
「伽耶、如何した?」
中々隣の部屋から出てこない私を心配して、信長様が襖越しに声をかけてくれる。
「あ、いいえ、何でもありません。もうすぐ支度終わります」
内心焦りながらも私は化粧をして信長様と朝餉を食べに行った。
その後自分の部屋へと戻り、ここに来た時の荷物を出し、その時に来ていたお洋服を取り出した。
あの日、ワームホールにのみこまれた日に着ていた服は、スキニーデニムとカットソーと言うシンプルな物でタイトな物。特にこのデニムは、するりと履けたら痩せたなと思い、キツっと思った時は食事に気をつけようと、私の体型変化を知るには最適のデニムだ。
衝立を立てて着物を脱いで襦袢の紐も解き、襦袢を羽織るだけの形にしてデニムに足を入れた。
「きっつ……!」
もうふくらはぎからキツイと感じる。
「ふんっ、…」
あまりのキツさにジャンプをしてデニムを上に上げた。
「……っヤバい…ウエスト閉まらない………」
眼下にあるのは、みっともなくはみ出たお腹のお肉…
「何これ…」
既にボタンを止めることが難しい状況を認めたくない私は、襦袢を取り払ってカットソーにも袖を通した。
「…………」
心なしかキツく感じる…
デニムもカットソーも脱ぎ捨てて、裸のまま鏡の前に立った。
太ったとも思うけど、たるんだ……?
「え、ちょっと待って…」
着物に着替えながら、太った理由を探し始める。
そして探さなくても、理由は簡単なほどたくさん出て来た。