第19章 譲れない事もある
「て言うか、まだ一緒に入ってなかったって事に驚きだけど…?」
「あ、分かる!絶対いつも一緒に入ってるって思ってた」
(私と信長様って、そんなイメージなの!)
「入った事なんてないよ、そんな…自分の体に自信ないし…」
人よりもかなり自意識過剰な私は、自信のないところを見られるのが何よりも苦手で、とくに体に関しては、モデル体型でもなければ至って普通で、信長様ほどの人の目にどう映るのかは、付き合っている今だって気になってしまう。
「でも、やる事はやってるわけでしょ?もう見られてるわけだし、そんなに気にするとこ?しかも
、自信がないってどの口が言ってるわけ?」
「そ、そんな身も蓋もない言い方……、でも自信は本当にないんだよ…」
だから未来にいた時だって、全身脱毛にヨガに糖質制限にって、少しでも美ボディに近づける努力をしてきたもの。
「その言葉…信長様に好意を寄せる城下町の女達を敵に回すからもう言わない方がいいよ」
「は、はいっ……でも、着替えてる所とかはやっぱり今でも見られたくないから、お風呂は抵抗あるよー、どうしよう…」
話はまた振り出しへと戻る。
「うーん、伽耶に必要なのは自分に自信を持つ事だね」
「うん。自分でもそう思う」
本当はさっさと入っちゃえば気が楽になってしまう事は分かっている。だけど、今後ずっと冬の間は一緒に入らなければと思うと…
ほら、女子にはお風呂でしか出来ないケアとかもあるわけで…
「うーーー、どうしよう……」
着々と夕餉の時間は近づいて来る。
みんなの意見は”覚悟を決めて行ってこい!”で一致している。
でも信長様と湯浴みなんて私にはレベルが高すぎて、しかも致す前提って言うのがさらに私の中のハードルを上げている。
選択肢は三つ、
壱、素直に応じる
弍、もう一度説得に応じる
参、逃げる
私がどの選択肢を取ったのかは、次の章で………