第3章 賭けの始まり
『ねぇ大地、もし無人島に一つだけ持って行くとしたら、大地は何を持ってく?』
『そんなの伽耶に決まってるだろ』
『っ、…もう、私はそこにはいないの!無人島だよ?大地1人で無人島に行ったらって話』
『だから、お前だろ?』
それがお前の望む答えだろとでも言いたげに大地は笑うと私の腰に手を回して抱き寄せる。
『なにお前、俺をぼっちにする気?』
甘い言葉と軽いキス。
『んっ………っ、でも私連れてったら無人島の意味ないじゃん』
『じゃあお前なら何持ってくんだよ』
『私?………んーーーー、スマホ?』
『何で俺じゃねーんだよ』
大地は両手で私の横脇腹をくすぐる。
『やっ、くすぐらないでっ、だから無人島だって言ってるじゃん!やっ、大地くすぐったい』
『可愛くないやつだな、俺って言やいーのに』
くすぐっていた両手はいつのまにか服の中に入り素肌を弄る。
『っん、スマホがあればすぐに大地に繋がるでしょ?そしたら助けに来てくれる?』
『だから、スマホじゃなくて俺を最初から連れてけばいいだろ?ってかもうその話終わりな』
『っ、えっ、またするの?』
(せっかく服着たのに)
『伽耶が俺って言わねーからだろっ!』
『あっ、…大地っ、』
・・・・些細なことでやきもちを焼く彼の顔が見たくて、私はいつもそれをやりすぎてた。
それでも、体を重ね合えば気持ちは分かり合えると、私の気持ちは大地に届いているんだと思ってた。
「……無人島にスマホって…、電波届かないと全然意味ないじゃん」
佐助君が去った後、何もすることのない私は、まだかろうじて生きてるスマホの画面をみつめながら、現代テクノロジーの限界にぼやいていた。
指は勝手に大地の番号を押して発信を押す。
もちろん、かかるはずない。
いつも、喧嘩をするたびに頭に血が上って大地のアドレスを消去してた。けど2日もするといつも大地から電話が掛かってきて…、その番号を見るたびにホッとしたんだ。