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トリップして「私が真の三国無双」と言いたい

第2章 桃園の誓いって私がいていいんですか




黄巾の乱。

連合軍の勝利。
知ってたけど。

そして、今 私は。


勝利後の宴に参加(強制)させられていた。


「どうぞ」


女が他にいないから仕方ない。
お酌要員。


「すまないな、そなたも飲むか」


劉備が気遣ってくれた。
ほんといいひと。
しかし、目の据わった張飛が睨んでいる。


「兄者、得体の知れないやつだぞ」


その通りですね。
私があなたでも、そう思います。
とはいえ。
今はそう思われては不味いのだ。


「非道いです、こんなか弱い民を」


ヨヨヨと泣き真似らしいことをしてみる。
男所帯だ。これで乗り切れるかと期待。


「益々、怪しいな」


関羽が持つと、お猪口がより小さく見える。
張飛と違って、ほんのり顔は赤いが。
冷静な口調と、振る舞いをしている。


「………………」




流石。

敵将である曹操は勿論。
他の名だたる武将からも、
一目置かれている存在。

迫力が、違う。


この人とにらめっこして
勝てる気はしない。

そう思い、比較的温厚な
劉備に顔を向ける。


「私はお酒、結構です」



そもそも。
お酒、そんなに強くないし。
こんな夢の世界で酔っぱらって、
いいことなんてあるわけない。



「今日は野営だが。明日には屋根のある所へ着けるだろう」





野宿かあ~
仕方ないかあ
虫 来ないといいけど




家は何処だという質問を濁したまま。
なんとか同行の許可を得たわけだが。
この頃の劉備らはまだまだ田舎の山賊レベル。

そんなにお金も持ってないだろうし。
供をしている者たちも、
劉備を慕っている民が
少し武装した程度。



「大丈夫です。助けていただいただけで」



これは、本心。

だってあのままだったら、
黄巾賊としてやられていた。


劉備が慕われているのが。
現実に、こうして。
よくわかるなんて。



「なんだかなあ…………」



ひとつの国になって、一国の主になって。
ちょっとずつ、変わっていくんだよね。

貧乏人がいきなり宝くじで
成金デビューみたいなもんか。



どうした、という問いに。
なんでもありません!とにこやかに応え。
お酌を再開する早苗であった。




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