第5章 周瑜様、美しすぎるんですけど
「儂が注いでやろう」
すっかり気をよくした黄蓋が、酒瓶を傾け。
早苗はお猪口を差し出す。
「どうもぉ、」
カラン、
手が滑って、お猪口が転がる。
「ありゃりゃ…………」
手を伸ばしながら、それを追おうとすると。
どん、と周瑜にぶつかる。
「早苗、もう止めた方がいい。ふらついているではないか」
「いえいえ、飲みたいんで、…………」
うっ、
「早苗?」
「ぎもぢ、わる…………」
城の庭。
吐いたあと。
その辺の塀で早苗は寝ころがっていた。
しかも。
「具合はどうだ」
周瑜様の膝枕付き!!
うわ~~~~~~
うう、でも まだ
ちょっと 気持ちわる。。。
「すみませ…………」
薄目を開けると、
周瑜様の美しいご尊顔!!
は~~~~眩しくて、
開けてられません。
「そなたがこれほど飲むとは。何かあったのか」
「…………いえ………」
早苗は ぽつりと。
今まで、ずっと。
次 また出向く戦のため。
人を討つことなきよう、
腕を磨いてきたことを話した。
「…………そうであったのか」
「どのくらい……通用するか、わかりません。でも、」
例えひとりでも それで
死なずに済むひとがいたとしたら
それは 私が 今 ここに
生きてる理由になるのかなって
思うんですよね
「なんて、…――――」
周瑜は。膝もとにある早苗に。
美しい微笑みを向けていた。
「っ、」
早苗は思わず顔を覆う。
周瑜はどうしたと聞いた。
「その美しさは眩しすぎるんで…………」
いやもう、ほんとに。
目を開けていられませんてば。
夜風にサラサラの黒髪がなびいてるし
爽やか全開 毛穴は何処
睫毛ばっさばさ
もう駄目
鼻血出すのも
時間の問題よ これ
「ふ、何を」
くすりと笑っていらっしゃる。
もう何でもいいです、あなたは。
なにしても お美しいので。
「………ほんとに、綺麗…………」
孫権に一度。
夫としたい者がいないのかと聞かれた。
いないなら、いいのを探してやろうか、とも。
「…………無理だし…………」
見てるだけ。
そう、思って、きた。