第3章 呂布って逃げるしかないやつですよね
赤兎馬の手綱を握りながら。
止まってくれそうもないので
軽く手を上げ、走り去る早苗。
「なんと勇敢な…………」
走っていると、見慣れた
ずんぐりむっくりさんを発見。
「張飛!見つけたあ!」
何処行ってやがった という質問に。
いや、迷子。と とりあえず謝る。
「その馬、どうした」
「あ、これ?呂布の。乗ってきちゃった」
えへっと照れ笑いを浮かべると。
辺りが一斉にざわつき始める。
「呂布の馬だと?」
「あのおなご、何者だ」
「呂布を打ち取ったのか!?」
おおぅ、盛大に勘違いされてるぅ
大きな声で、誤解を解くべく声を上げる。
「呂布から逃げてたら、繋いであったの見つけてね!」
やるじゃねえか!
張飛がバシン!と勢いよく
背を叩いてきた。
痛い!この馬鹿力!!
呂布だ―――――!
呂布が来たぞ―――――!!
その声に皆 一斉に散らばる。
「董卓さえ討てば、勝ちなんだよね」
走っている張飛に。
董卓のとこへ行くには
どうしたらいいのか聞いてみる。
「兄者たちが向かったぜ。そこの中だ」
建物内か。
馬のまま 入っていいのか?
考えてみる。
「…………入ってたな」
ゲーム内では。
馬のまま乗り込んでいた。
つまり。OKという解釈でいいはず。
「よしっ、行ってみるか」
手綱をくい、と引き。
董卓がいると思われる、屋敷の奥へと向かう。
敵兵を槍でいなしながら。
馬上攻撃に精を出しつつ
董卓を探す早苗。
そっか。別に殺さなくても。
よっぽど、武将とかでさえなければ。
戦さえ勝てばいいわけだ。
そう思い、出来るだけ
刃で傷つけないように。
槍を振りながら、
敵兵を転ばして進む。
「なあにをしておる!行け!儂を護れ!!」
通路の角を曲がると。
文官を炊きつけながら
脂汗をかいて、必死で
逃げようとしているやつが。
「董卓!」
こいつは、最低の人間だ。
同情の余地はない。
「―――――、」
先程。初めて、槍で。
人を切ったときのことを思い出す。
「早苗!」
劉備と、関羽が掛けてくるのが見える。
董卓が来るな!と叫ぶ。