第2章 竹の巻
正殿―――――――
玉座で一人項垂れる王。
弟王がやってきたね。
「で、沙良は元気だった?」
「ああ………何も心配ないと鼠姫に伝えてくれ。」
「分かった。分かったけど何で兄ィはそんなに顔色が悪いんだよ?」
「……つい話が弾んでな、うっかり朝帰りしたら妃たちにやり込まれた。」
「そりゃあ、遊廓から朝帰りはまずいさ。」
「………っ少しは分かってくれよ……ナンだってそのうち…………」
「俺は行かねえよ。誓って。遊廓は。行く理由がない。」
「はっ……はは、また惚気られたか。」
「で、兄ぃ、妃様方のご機嫌はどうにかしたのかよ?」
「ああ、それぞれに新しい着物とそれに似合う宝飾を誂えてやることでカタがついた。
やれやれ………とんだ出費だ。当分酒はお預けだな…………」
―――――『遊廓には行かない』という弟王の誓いは、この後破られてしまうことになるんだけどね。