第10章 喪失
「お前ら、聞いてたんだろ?隠れてないで出てこい。」
すると廊下の曲がり角から1年の4人がブツブツ文句を言いながら顔を覗かせた。
「チッ!パンダのせいで見つかったじゃねーか。」
「俺かっ⁇俺は1番後ろで聞いてたゾ?そもそも憂太と棘が行こうって言うからだなー、」
「おかかー!」「ぼ、僕っ⁈」
そんな4人も呆然とするを前にすると大人しく口を閉じた。
涙を流す訳でもなく、泣き崩れるでもない彼女は、ただ何の感情も無くそこに立っているように見える。
「お前たち、午後は自主トレーニングだったな?
知ってると思うが明後日まで悟がいない。
誰かの付き添いを頼めるか?
ーーーちなみにパンダ、分かってると思うがお前は行くなよ?」
「あぁ、分かってる。さすがにこの姿は場違いだからな。」
「私が着いてく。」
「ツナマヨ。高菜、こんぶ。」
「ぼっ、僕も行くよ!」
行く気満々の3人を見て、夜蛾は頭を掻いた。
「いいか?お前ら。付き添うのは良いが絶対に、ぜーったいに問題は起こすなよ?」
「はいっ!」「分かってるよ」「しゃけ!」