第10章 喪失
職員室に着くと学長がすでに入り口の前で待ち構えていた。
「呼び出してすまない。、落ち着いて聞いてくれ。」
『・・?はい…』
神妙な面持ちの学長に心臓が嫌な音を立てた。
「今しがたが住んでいた施設の施設長から連絡があった。」
『・・早苗さんから⁇』
学長が小さく頷く。そして重い口を開いた。
「ーーー村上あかりが自殺した、そうだ…。」
『・・・・ッ!』
鈍器で殴られたような衝撃に、私は言葉を失った。
待って。
ーーーーー自殺?あかりちゃんが⁇
そんなの嘘。
嘘に決まってる…
「今朝、入院先の病院の屋上から飛び降りたらしい。
・・・会いに行くか?」
『・・・・・』
視点が定まらず、黙ったまま立ち尽くしていると、学長の低い声が廊下に響いた。
「、しっかりしろ。辛いだろうが正気を保てないようなら外出は許可出来ないぞ?」
大きな声にビクッと肩が揺れる。
そして何とか震える声を絞り出した。
『・・・・会いに、、行きたいです、、、』
すると学長は腕を組み、短く息を吐くと廊下の方に視線を向けた。