第10章 喪失
寮の玄関まで降りて来ると、ちょうど真希さん、狗巻君、パンダ君達を見つけ、
「皆んなおはよう」『・・おはよう』
「おぉっ!が制服着てる!」
「こんぶ!」
「つーかのスカート長くね?
どっか良いトコのお嬢様って感じだな(笑)」
「またどーせ悟がいじったんダロ?アイツ清楚系がタイプなのか?」
「うわー。。が素直に言う事聞くからって自分の好み押し付けるとか最悪じゃん。着せ替え人形じゃねーっての。」
『・・・・。』
普通、教師の言う事は皆んな素直に聞くのでは…?
と疑問に思ったけどそこは黙っておく。
「そう言えば今日から悟、任務で出張って言ってたよな?」
「うん、朝早くに出て行ったよ。明後日には帰って来るんじゃないかな?」
「よっしゃ!うるせーのがいねぇし、今日の夜、憂太んとこで集まろーぜ?」
「しゃけ!」
「いーな!明日は休みだし、朝までゲームするゾ!」
そう、明日は休み。
ようやくあかりちゃんに会いに行ける!
そう思うだけで頬が自然と緩む。
「?さんもゲーム楽しみなの?」
ニヤけていた顔を憂太君に見られ、思わず首を振って否定した。
『ううん…明日久しぶりに友達に会いに行けるのが楽しみで…つい、、』
「そっか、学校の外に出るのも久しぶりだよね?
友達は明日面会に来る事は知ってるの?」
『ううん、私携帯ないし連絡は取ってないんだけど。
いきなり行って驚かせちゃおうかなって。』
何だか想像するだけで、ふふっと笑いが込み上げる。
「・・さんがそんな風に笑うトコ初めて見た。
その友達の事が大事なんだね?」
「うん、すごく大事。」
即答する私に、憂太君は優しい笑顔を向けた。
不覚にもその柔らかい表情にキュンと胸が高鳴ってしまった。
「憂太、!置いてくぞー‼︎」
前を歩く3人がこちらを振り向く。
私と憂太君は慌てて皆んなの元へ駆け寄り、校舎へと向かった。
この数時間後、私は地獄に突き落とされるとも知らずに…