第10章 喪失
翌日
ドキドキしながら真新しい制服に袖を通す。
上は夏服仕様で白いシャツだけど、ちゃんと長袖を選んでくれたあたり、さすが五条先生、と思った。
『あれ、、、?何かスカート、真希さんのと随分違う?』
確か真希さんは短いタイトスカートだっけど、私のは膝丈のプリーツスカートだ。
真希さんみたいにスタイルが良くないし、丈が長くて良かった、、と内心ホッとしながらスカートを履いた。
支度が終わり部屋を出ると、すでに準備を終えた憂太君が待っていてくれた。
『あ、ごめんね?支度遅くて…。』
「ううん、全然…、、その、、制服凄く似合ってるよ。」
目を泳がせながら頭を掻いている憂太君の耳がほんのりと赤く染まった。
思いがけない言葉と反応に、顔に熱が集まるのを感じ俯きながら
『・・・ありがとう。』
と小さく微笑んだ。
部屋を出て、前を歩く憂太君を見てふと疑問に思う。
『そういえば、何で憂太君だけ制服の色が違うの?皆んな黒なのに。』
「あー、、、何か問題児だからパッと見てわかるように、って言われた。」
『え、問題児⁈憂太君が⁇』
「はは、、うん。」
苦笑いを浮かべる憂太君を見て、昨日のパンダ君の話しが頭をよぎる。
きっとそれだけ憂太君の力が脅威になる、と言う事なんだろう…。
私は『そうなんだ。』とそれ以上は深掘りせずに返事をし、また他愛のない会話をした。