第9章 指輪
陽が落ちた頃、ようやく五条先生も加わりいよいよ流しそうめんパーティーが始まった。
テーブルの真ん中ではウィーーンと機械音と共に、ぐるぐるとそうめんが回っている。
皆んなの視線がチラチラと五条先生の前に置いてある麺つゆ(麦茶)に向けられるが、五条先生はなかなかそれには手をつけず、それよりもそうめん機の中に次々と変なものを入れていく。
「ラムネはありだと思わない⁈ちょっと誰か食べてみてよ。」
「おかか。」
「は⁈つーかラムネ溶けてんじゃん。うっわ、最悪!」
「えーまじ?じゃあ天かすっぽく後乗せにする?」
五条先生は隣に座っている憂太君のつゆの中にバラバラっとラムネをほうり込んだ。
「ちょっ!何で僕のに入れるんですかー⁉︎」
「いーからいーから、ちょっと食べてみてよ?以外とイケるかもよ〜?」
口の両端をニッと持ち上げ食べるまで待つ様子を見せる五条先生に、憂太君は渋々、ラムネと一緒にそうめんをすすった。
「〜〜〜〜⁉︎ゴホッ‼︎‼︎」
むせ返り口を手で押さえる憂太君を見て、五条先生はゲラゲラと笑いながら、
「どぉ?麦茶味のラムネそうめんは⁇」
「・・麦茶味⁇あれ?つーかいつの間に憂太のとすり替えたんだ⁈」
どうやら麺つゆに見せかけた麦茶を五条先生はいち早く気づいたようで、誰にもバレる事なく憂太君のそれとすり替えていたらしい。
「う〜〜何かもう色々不味い、、、」
「悟の隣に座ったのが運のツキだったな。」
「僕を騙そうなんて1000年早いよ。」
フッと鼻で笑う五条先生はグラスに注がれた麦茶を一口飲み、
ブーーーーーーーッッ‼︎
勢いよく吹き出した。