第9章 指輪
それからしばらくして任務を終えた憂太君と真希さんが帰って来た。
あんな話しをした後だからか、
「ただいまぁ」と笑顔を向ける憂太君から思わず視線を逸らしてしまい、つい指で光っている指輪を目で追ってしまった。
・・・パンダ君が変な事言うから意識しちゃうよー、、、
逃げるようにキッチンへ入り冷蔵庫から麦茶を取り出すと、平然を装うようにグラスに注いでいく。
「あーーー腹減ったー‼︎もう流さなくていいから早くそうめん食べようぜ?」
「おい真希。せっかく流しそうめん機、準備したんだゾ?が。」
「おかかー!」
「チッ、わかったよ。・・てかコレ全部流すのかよ…」
真希さんが指差した先には、昨日五条先生がそうめんと一緒に流すと言って買って来た
ミニトマトやきゅうり、みかんなど合いそうなものからチーズやマーブルチョコ、ラムネなど本気なのか冗談なのかよく分からないものまでズラリと並べてある。
「俺、良い事思いついた。悟のめんつゆ、麦茶にしよーぜ。」
「高菜!」
「いーな!よし、憂太やれ!」
まるで悪戯っ子のような顔つきで笑う3人に、憂太君は「何で僕⁈」と顔を引き攣らせている。
私は麦茶を入れたグラスをテーブルに運び、
『憂太君、これ。』
私はそのうちの一つをスッと差し出した。
「えぇ〜っ、さんまでっ⁈」
「分かってんじゃん!」
『・・・⁇いや、、使うのかなって思って…』
「悪意がないのが逆に怖っ!」
「すじこ〜〜」
戸惑う私と憂太君を前に3人がからかう。
大体5人が揃うとこういう流れになるのが日常化してきていて、
それが何だかとても居心地良く、まるで私も仲間の一員になったような錯覚さえしてしまいそうになる。