第9章 指輪
7月に入り梅雨が明けてからというもの、毎日暑い日が続いていた。
そうめんが食べたいね、と数日前に憂太君と話してたところ、昨日の夜、五条先生が大量のそうめんと流しそうめん機を買って帰って来てくれた。
明日は流しそうめんパーティーにしよう!と五条先生の提案で、先に帰って来た私達が準備をする事になった。
『憂太君と真希さんはまだかかりそうなのかなぁ?』
「んー、あ、憂太からライン来てた。
任務終わって帰るとこだと。
あと20分ぐらいで着くみたいだゾ?
てゆうかは携帯持ってなくて不便じゃないのか?」
『・・・特に?ここでは誰かしらと一緒に行動してるし、、。
それに他に連絡取る人もいないし。
あ、でもようやく外出許可が出たから次の休みに友達のお見舞いと施設に顔を出してくる予定だよ。』
つい嬉しくてフフッと口元が緩んでしまう。
「こんぶ?」
ん?と私は首を傾ける。
『えっと、、1人でか?って事、かな、、?』
うんうんと、首を縦に振る狗巻君。
『ううん、五条先生は任務でいないから憂太君がついて来てくれる事になってるよ。
なんか休みの日に申し訳ない感じだけど…。』
なら良かったと言わんばかりに狗巻君は表情を緩めた。
もしかして、心配してくれたのかな…?
最初こそ彼の言うおにぎり語は意味が分からなかったし、所謂美少年の顔立ちをしているせいか近寄り難いイメージだった。
けど、今は憂太君の言う通り、狗巻君は友達思いで優しい人なんだなと思うようになった。